記録『OHSHIO・V』
モノプレイ
構成・演出・演技 酒井忠親

実験・創造工房 研究試演W
2004年6月28日 
麻布ディ・プラッツ
監修 林英樹



試演総括  酒井忠親
大塩平八郎の「檄文」にこだわり、3回目の試演となる。

今回は、前回の反省、「檄文」のテキストを一本調子にならずに独白(発語)し たいということが、まず第一義にあった。続いて、「創作部分」に関しては大塩 平八郎の時代をそのままやるのではなく、何か異なる味付けで大塩の感じて いた思いを表現できないかと考えた。

事前に、『OHSHIO・T』に登場した「サラリーマン」が崩れていくというコンセ プトにしたらどうか、との助言を林さんからもらっていたので、それを生かしな がらも『OHSHIO・T』とは違う何ができるかを考えていった。

表現は直接的すぎると、想像する余地が少なくなるのでかえってつまらない。 そのことを踏まえて『OHSHIO・U』とはちがう何かを。。。

自分の仕事(日常の職場・教員)の中で受ける様々なもどかしい思いや、現代 の政治の流れの中に感じるやるせなさ、そんな思いが交差して、創作部分に 唐十郎の「津波」や「眠り草」の台詞を引用し、そして自分の創作テキストを加 えて構成してみた。

困難だったことは事前に課題をもらった「創作部分のわかりにくさ、大塩のテ クスト(檄文)とどう交差したり、対象化できているかを客の視点で考え て!!」という林さんからの助言に対して、的を得ているだけに直しの着手に 取り掛かったが、一部の言葉を変えたのみで、客が読み解く手がかりとなる 仕掛けが入れられなかったこと。自分の演出力の現時点での限界を思い知ら されたようだ。ユルさんや上田さんのモノプレイを見ていて、自分に欠けている ことが、何かわかりかけた。ただ、自分の『OHSHIO』をどう作るのか、自分で はどんな、仕掛けや手がかりを創作部分に入れ込めがいいのか、いまだみえ てこない。

試演会を続ければ続けるほど、自分にないものが大きく広がっていく感じがす る。毎回、苦しいが、今回はこれだということがわからないままであったのが 苦しかった。また、一方「大塩檄文」のテクスト(発語)については弾けきれな いままに終わることはなかったが、強く表現するところでは、単調になるのでさ らに、独白の言い方(発語の方法)を磨いていきたい。


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