『糸地獄/マテリアル』総括
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(本人ブログより許諾の元、転載)
まず、動き手の皆が結構イメージにとらわれて、それと戦うことが難しかった
ようだ。岸田さんの戯曲は一言一句が世界を想像させ、なおかつ、戯曲の中
の衣裳、人物、動き、匂いまでもを想像させられる。うめたちは、『糸地獄』の
初演の頃にはまだ自我があるかどうかも分からないようなちびっ子だった。当
時の空気なんて分かるはずもないのに、それがなんだか感覚で感じてしまう
のだ。この戯曲すごい…。この一言につきる。
が、林さん世代はもろに「それ」だっただけにうめ(*藤井の愛称)たち以上の
鮮明な記憶、感覚の呪縛があるだろう。
飛び出すにも、何か糸口をつくらなければ。うめはそう思いながら今回の創作
に挑んだ。が、以前にも書いたが、稽古時間もいつもよりもすくなく、練りこむ
事がマイペースのうめには難しくさらに、仕事と演劇とのあたまの切り替えも
困難なときも多くあった。が、それはただの言い訳に過ぎない。
発表の日程が決まっていて、稽古時間が短くて、でも一から作らなくてはなら
なくて、作品自体大物過ぎて、、。ならどうする?
小さな一点に絞っていくしかない。今回はうめ自体もうまく機能できないので
「糸」メンバー皆で思考することを余儀なくされる。感覚だけでは、先は知れて
いる。それを乗り越えなければならない。得意不得意があるのは知っている。
でも、乗り越えなければならない。
悩み、もがくことで、今回の『糸地獄/マテリアル』は出来上がった。
結局最後の最後まで皆「難しかった…」ようだ。うめはうめで、皆に「分からな
いこと」を言った覚えはない。いつもの皆なら、うまく切り抜けられたのだろう。
が、、、、。そう。「先入観」に負けてしまったのだ。世間的には試演会といえ
ど、総合的には「失敗」とレッテルを貼られるものだろう。が、おかげで全体的
に大きく「成長」出来たと思う。いろんな意味で。それは本人達は実感していな
いと思うけど、いつも見ている林さんはそれを感じてくれていると思う。うめもも
ちろんそうだ。嬉しい。作品としても、なんとなく手ごたえがあった。
いつか公演になる可能性を感じた試演会でした〜。
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