『アンティゴネー』
実験・創造工房 研究試演V
2004年3月3日(月)19時ー 
国立オリンピック記念青少年総合センター
監修 林英樹

モノプレイ
構成・演出・演技 井口香(taf)
引用テクスト『アンティゴネー』(ソフォクレス作 呉茂一訳) 



入好亜紀
最初に暗闇の中で懐中電灯の光であたりを照らしてゆっくりと歩いている所は すごく引き込まれました。私の思っているアンティゴネーのキャラクターと少し 違っていたので、新鮮な感じでした。きっと激しい人だと思っていたので、もう 少し浮き沈みというか、こんなに変わっちゃうのってくらい激しくやって欲しかっ たと思いました。あの懐中電灯はアンティゴネーにとっての何だったのだろうと 考えました。愛情…?もしくは憎しみ?かなぁと思いました。もう少し考えてみ ようと思いました…。


上田誠子
静寂と暗闇と懐中電灯…と鈴木香織時間が、空間が、緊張して、心地良い雰 囲気でした。  ただ…素直に、両親、兄を求めすぎていた様な気がしました。 たまに観(魅)せる(ファリファリ)サ−クルのような力強さを、裏切りの意味で 入れて頂ければ…。


藤井理代
<懐電、喪服>
台詞…長かったね、よく覚えたね。言葉にとらわれてしまっちゃった感は少し ありますね。鈴木香織独特の空気の使い方は、けっこう好き。この路線でもっ と色々探っていくと、先々面白く創って行けるのでは。ただ、今回は、やっぱり 煮えきらない。
懐中電灯も、もう少しうまく利用して欲しかった。あと、<世界>のカラを破る 何かがあればぐっと、全体が引き締まると思う。


T.OKUMURA
懐中電灯で照らしながら出てきたのが、おもしろかったし、すごかったと思う。 間を持たせるのはとても大変だと思うから。
気になったことは、アンティゴネーの状態(気持ち)がわかりにくかった。上手く 言えないけれど、出てくる時、何を思って後ろを向いたのか、そこからどうセリ フが出てきたのか。セリフの言い方、つなげ方はおもしろかったけれど、セリ フ以外のところが、何か足りないかなと思った。


K.KATOH
ライトの光などは、本来とてもあたたかく、落ち着いたりするが、寂しさなどの 表現がうまく出ていた。
また今回は、前回、前々回に比べ、鈴木さん(女性)の強さ、弱さがよく表現で きていたと思いました。また、僕の中で座りこんでしまうイメージが強いので、 動きのある表現も見てみたいです。


A.GOTOH
前回藤野でやった「サロメ」とかぶる点がいくつかあった。
懐中電灯の使い方はおもしろかったが、もったいない。センターにいる時一時 も顔の表情が見えないのは痛い。しかし、ときたま光の中に鈴木香織の動き が入ると、そこから伝わってくる感情とかがあった。セリフの言い回し方が一 定のメロディー(歌)になってしまっていた。語尾もクセが目立つ。
客を引き込む、自分の世界に入れてしまうのはやっぱり上手い。


佐藤 和紅
彼女はどこにいたの?物理的なことじゃなくて。
明かりとうす暗いところでつくり出した、静かな、けれど深い空間のどこに存在 したんだろう。この空間を打破するほどの芯の強さを持った言葉でもない、で もただ単にこの空間の恐怖に取り込まれそうな言葉でもない。彼女の言葉と 空間が繋がっていない感じ。心情を思いきり表している言葉が、一番想いや 感情、苦しみを伝えるとは限らない…。
明かり、自分のお腹に当ててみたら?頭の上から降らせてみたら?右目に当 ててみたら?髪の毛の影だけ映してみたら?一体何が表現できただろう。見 たかったなぁ…。


志村 麻里子
鈴木香織さんの静≠フ中で、ひきつけるモノがある。それはよく出ていたと 思う。何か足りないようにも感じたが、シンプルさが良かったのかもしれないと 思った。


A.SODA
前回のロウソクと比べると、懐中電灯は、動作や観客の視界の幅を広げるこ とが出来たと思うし、懐中電灯の方が言葉を生み出す背景とは不似合いで、 逆に想像力をかき立てられたので、良かったと思います。吐き出すように言う 台詞に、もう少し重みが出ると、もっと良くなると思います。あと、ラストのとこ ろにもう少しまとまりがあると良かったと思います。


M.DAI
恐怖という暗闇をうまく使っていたと思います。
とてもスタンダードで直に伝わってくるものがありました。人間の奥底にあるも の、恋人、友人と兄弟の違いが切なく伝わってきました。欲を言うのであれ ば、もう1ケ所くらい発狂するところがあった方が良いのではと思いました。で も、抑える恐怖はすごく勉強になりました。


中内 智子
一番好きだったのは立ち去る時の歩き方。登場の時の歩き方と違って見え、 背中がとてもさびしそうで、おびえている風に見えて個人的に好きでした。
明かりが一つで、表情が見えないので(見えにくい)、私は声から、あとシルエ ットなどから想像できたので楽しかった。切ない気持ちになりました。とても引 き込まれたのですが、もっと色々な声や、明かりの使い方をすると良くなるか も…と思いました。


Y.NISHI
光を用いるのは好きだが、ああいう使い方をするのであれば、懐中電灯より もランプ系の形状のものの方が良かった気がする。全体を通してアクが弱く、 無難な感じに見えた。もう少しテンションの上限、下限の落差があった方が良 かったのでは。芝居自体が混ざりきってない現実感と非現実感があって少し 曖昧に見えました。


T.HASEGAWA
孤独感と悲壮感、暗い闇に閉じ込められている、兄想いの妹として、成立する 一人の女として生きていかなければいけない苦しみは、伝わってきました。
構成として、最初、沈黙の空間を、使い方と客を引き込ませる演技の方が台 詞の時よりも目立つ感じがしたもので、空間と台詞の世界観を一致させられ ればと感じました。


MAIKO
始まり方から台詞の〆方、言い出し方、中盤までとても良かったと思います。 でも、私はすごく飽きっぽいので・・・・・・、どうしたらいいっていうんじゃなくてな んですけど、自分の心の<自然な>流れを、それに委ねて流れたままに見え ました。本当はきっとそれで良い(という言い方も変ですが)のでしょうが…私 の個人的な感想でした。でもとても良かったです。ビジュアルもキレイだった し!


A.MASUNAGA
全体的に静の部分を強調していた感があったので、動が垣間見えると良いな ぁ…と思いました。(例えば、照明の動きをつけるとか…下から照らして地下 からの声(死人の?)のようなものが聞こえたり、本人は動かずに周りの壁が 動くような仕掛けにしたり…)心の中がストレートに見えるようにすると、静が 際立ちそうな気がしました。


N.YAMAUCHI
最初の無音の中歩いてきて、この後いったいどうなるのか魅せられました。個 人的意見で、なぜかわからないんですが、暗闇で電灯が光っている為なの か、嵐を想像してしまった。


K>EGUCHI
ライトを使ってたのはなかなか良かったと思う。しかしライトだけでは顔の表情 がわ  からないので、声(言葉)にもっとパワーをつくればどうでしょうか。


T.OHYA
電灯を使う表現、おもしろいと思った。あかりの動き1つ1つにも気が入り、ア ンティゴネーの現状、心情など、出されていると思う。ただ、全く顔も見えず、 シルエットだけ(+セリフ)で見せなければいけないのは難しいと思った。


T.SAKAI
懐中電灯を効果的に用いた入場の仕方、特に光の扱いが巧みであった。言 葉との出会い方には、まだまだいろいろな仕掛けが可能かと思う。

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