『変色』 構成・出演 横山晃子
実験・創造工房 研究試演]T(11回目)
2006年6月26日、19時ー 
ザムザ阿佐谷
監修 林英樹

2.『変色』 構成・出演 横山晃子
S.UESUGI
指先が操り、操られる白い紙紐は、自分自身を縛りながらまるで自分とはか け離れた一個の生物のようにまとわりついていく。しがらみを自らの意思で断 ち切っていく、その潔さは、ともすると自分を自滅へと導く…紅い紐はへその 緒か?…自らのトラウマを逃れるためには自分との決別しかないのだろうか …あるいは、他者への攻撃による自棄行為か…迷いの果てに見せる凛とし た姿は、過去を振り返らない女の強さを感じる。

T.SAKAI
奇妙な音楽が鳴り響く。台詞の入りがとてもよく、声がスポットと鋭角に観客に 届いた。靴を隠すという行為が何かを表わしているのだろう、主演者の子供 時代の記憶に遡るようなイメージが伝わってきた。

衣装の黒と靴紐の紅が暗示して妙に印象的。

S.KAWAI
白の包帯を手首に巻いたあたりから、次は赤い紐が出てくるかなと想像でき てしまった。そこから、もう一捻りあると驚かされました。

K.KUWAHARA
内容に関してはよく解りませんでした。あの女の意志は感じましたが。最初の 白い布がスーッと出てくるシーン、美しいです。横山さんは『語らずに立てる 人』なのかな、と思います。(次に展開させるのが少し遅かったか?)
冒頭のシーンがいい空気だったために、話し出してからがかえって弱くなって しまった気がします。あのまま、発語せずに終わっても面白かったのでは?

根岸佳南江
音がひどく邪魔に思えた。トイレットペーパーを千切る。ゆっくりと。切った…と いうより、切れてしまった…。諦め…
ラストは邪魔だと思った音が気持ち悪くなった。

藤井理代
トラウマとなる物事で、本来の自分と色を変えてしまう。それはほんの些細な 事だったりするんだろう。トイレットペーパーは、緩く切れる事無く本人を取り 巻く環境。が、いつでも自分で断ち切ってしまう事の出来る危うさを感じた。嘘 をついていく事の苦しさが、快感になる感じ。
箱の中の赤い紐?あれは何だったのだろう。

S・A
難しい…。ただ、椅子を倒す(動かす?)とか、赤い紐が入っていた箱が手か ら落ちるといった動作が、自然に感じられませんでした。共有できる感覚とい うか…伝わってくる感情や感覚が少なかったです。空気に呑まれきれません でした。

為貝友理
小道具の意味って大きいと思いました。あのプラスチックの音は良かったの か、白い物の素材は…。表現するものに合ったものなのか…。考えます…。
よく解らないですが…。

Y.SAWARA
惹きつける力があった。白いオビも際立っていたしよかった。だけど、最後の 赤い紐があんまり効果的じゃなかったような気もした。

カワノアカネ
全体的にじっとり動いている感じでしたが、どこかに一瞬完全な静止があると じっとりが引き立つかもとちょっと思いました。(音の切れ目とか)椅子の上に あった箱みたいなものは何だったんでしょう?(ごめんなさい、よく見えなかっ た)声にもう少し強さとメリハリがあるといいと思います。

無記名
乙一のGOTHが一体どうなるかと思いましたが、やはりあそこか―という印象 です。"遊んでいる"夕の心情、切れた一瞬の事、外の音が聞こえない世界の 中、奥底の冷めた感じと、乙一氏の表現と近いなと思います。

N・M
黒の中の、スカートの赤。意図的だったのかなあ?と思いました。赤い紐より も、スカートの赤がとても印象的です。

C.TAIRA
全体が黒で白と赤が出た時にどうしてもそっちに目がいっちゃって、こういう見 せ方があるんだなと思って感心しました。観ている時にすごく息がしづらくて、 何故息がしづらかったのかと思いました。色?空気?音?異世界にいる人形 みたいだなと感じました。

N.HASEGAWA
ここに書くべきものは何も思い付きません。横山さんが乙一を題材で扱ったら もっと少女っぽくなると思ったのですが意外でした。

上田誠子
変えられた、自ら望んで変わっていった、どうなりたかった本当は。
頭が悪いので、もう少し時間を下さい。

Y.SASAKI
女の人のつんざく様なヒステリックに高い声こそが、男(人)を言い知れぬ不安 に駆り立てると僕は思うのです。それを使いこなすのは、確かに相当難しいと は思いますが、なんだろ、「得意なトコロ」(いつもの声)で見せられても、不満 が残ります。

K.YOSHIDA
単純すぎてひねりがない。またひねらせるものもない、どうしたいかが伝わっ てこない、もっと思い切ったチャレンジをしてみた方が良いと思う。悪乗りする くらい。

A.MASUNAGA
音のせいで全てがぼやけてしまい、集中することができなかった。不快。もっ たいない。とても力のある身体だったので、無音であればいろんなことが見え ただろうに。
立ち姿が、とても「女性」を感じさせた。

佐藤多美子
体に巻きついていた白い布(?)は自分自身を縛るしがらみのようなものなの でしょうか?箱の中身は開けてはいけないような秘密が詰まっていたのでしょ うか?(私にはそう見えたのですが)

T.NAKA
自分の身を守る、擬態、僕の中では「変色」よりも「変形」という印象。形を変 え、自分を偽る事で身を守る。外敵から守る際の話、自分の内面に敵がいた ら、最も騙さなくてはいけないのは自分自身になってしまう。常に自らを騙し続 けるには一瞬たりとも同じ姿には留まれない。自分でない姿を常に作らなけ ればならなくなる。

T.KISHI
自らが自分を縛り、「罪」というカタチ無き「何か」はより強く自分を縛り、内へ 内へ…自虐とは自分への「戒め」なのだろうか。わからない。でも罪は解放を 知らない。

M.TUCHIDA
よく解らなかったです…。黒BOXは葬式の時の御焼番に見えた。「変色」とい うタイトルの意味するものは?御焼香が燃えていく様なのか、トイレットペーパ ー(?)の扱いの緊張感が良かった。変わると色が変わってしまうものって多 いですよね。


トップへ
戻る