『ニジュウヨンブンノイチ』l構成・演技 井口香
実験・創造工房 研究試演]U(12回目)
2006年12月20日、19時ー 
ザムザ阿佐谷
監修 林英樹



ボクの知らないボクの人生 
ボクの知らないボクの罪
ボクと23人の男女奇妙な共同生活…
ボクはボクに閉じ込められる…
内容:連続婦女暴行殺人犯のビリー・ミリガンには彼以外に23人の人格がいた。
彼らがスポットと呼ぶその場所だけが人格をもつ事を許される場所…。
彼らにとってスポットとは、時間とは……。

S.SAKAI
多重人格と言う難しいテーマに挑んでいる意欲が伝わります。スポットと呼ば れる場所、人格の入れ替わり、その表し方に井口さん自身がまだ物足りなさ を感じているように感じました。メトロノームや照明の使い方効果的だったと思 います。照明の光を受け、自分の中に宿っていた大勢の人格が影として壁に 映し出される、瞬時に変わる影絵は一人一人の人格のように見えました。


藤井理代
大きな脳の中の一部の一つの人格。見わたしても何もないが何かが潜んでい る感じ。もう少し見てみたいな。短いね。もっと面白く出来るのに何かが勿体 無い。井口の「臆病さ」が悪く出てるかな。


K.KUWAHARA
メトロノームのリズム、懐中電灯のアイデアなど、発展しそうな部分は色々あり ました。『心の中の世界』の様な雰囲気は出ていたと思います。ですがこの題 材を通して、何がしたいのか、何を浮き上がらせようとしているのかが良くわ かりませんでした。


匿名希望
照明(懐中電灯も含め)は良かった。空間のつくりというか、味、のようなもの とうまくあっていて意味深に見えた。実際意味するところがあったかはわから ないけれど。ビリーミリガンとの関係は良くわからない。


K.Y
外は雨なのでしょうか……。子供の頃読んだお話で恐いものの無い男の話を 思い出しました。彼がある幽霊屋敷で宿をとると、色んなお化けがやってきま すが彼は全く動じません。しかし最後に自分自身の影に恐れおののき、死ん でしまいます。一番恐いのはやっぱり「あいつ」なんですね。光と闇の間にある 何か、そんなものを感じました。だからこそ最初に完全暗転にならず、闇に浸 れなかったことが淋しい。


M.S
僕の性器にも人格があります。人は人じゃないから生活できるんだなあと思 いました。外も内も。


M.M
これはこの人の日常生活なのですかね(寝てばかりいてわけがわからなくな る)…そんなことはないですよね。影絵が面白かったですよ。目とか今まで見 たことありませんから。


H/TOMINAGA
影絵を使ったりする試みは単純に面白いと思ったし、正反対の人格を暗闇の 中であの様に変化させる構成も悪くないと思う。ただ正直作品として少し狭い 印象を受けてしまった。それさえも彼女の気持ちの表れな気がしたが…。彼 女自身、いいものを沢山持っている人だと思うので更に踏み込んだ作品が見 てみたかった。


入好亜紀
綺麗で、暗く、でも離れがたい場所。そんな空気が出ていたので、良かったと 思います。まだあどけない感じの残る人の見てきた残酷な現実とか、裏に潜 んであるのはわかりましたが、それがもっと出ていたらメリハリになると思いま す。その先に何があるのか、それを見せようとするヒントや、ある程度提示し て欲しかったです。


H.SANO
『五番目のサリー』を思い出しました。一人の人格が出ている時は、他の人格 はこうした空間にいるのでしょうか。懐中電灯の光が壁や天井をずーっと添っ ていった時、とても巨大な「目」に見えて恐怖。人は多重人格ほど表に出ない にしても、何人もの自分を持っているのかも…


M.KOGURE
「例え23人の人格が立ち向かったとしても、ただひとつの人格に勝る程人間 は器用では無い。」そんな事を考えさせられました。シニカルな、シュールな、 空間を創り出すその《根源》《意味》とは何なのでしょう?ボクは何?ボクは何が 見たいのだろう?伝えるって難しい。他人の気持ちも。自分の気持ち、も。


M.TAKEDA
暗い闇、温かい光…ライトは何かを探しているようで。全体的に温かい雰囲気 を感じた。子供、無邪気。


A.MASUNAGA
メトロノームの音や、懐中電灯の持つ効果が気持ち悪くなるほど迫ってきて良 かったと思います。とても良い題材を使っているのですから、もう少し冒険して みても?ビリーミリガンは読んだ事が無いのですが、各個人のアイデンティテ ィやクセや殺人至る過程などが描けたらもっと繊細に深みが出て面白くなると 思いました。


I.WATANABE
私がビリーミリガンに出会ったのが高校生の時。あの時は必死になって自分 を探して板敷きだったなぁと、ふと思い出しました。24分の1、光にあたってい る人がいれば完全な暗闇に閉じこもっている人格もいる。「僕は君だ」とてもと ても深い言葉、深すぎて掴みきれない…。光の使い方、見せ方がとても深か ったです。波のように輪をつくる懐中電灯の中、その中に見えそうで見えない 自分の姿、そして、メトロノームの音、光の輪、音、全てが輪になってループし ている。私的に視覚としてとらえてしまった感が大きい。見ていて中身まで掘り 下げることができなかったです。ごめんなさい。


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