『カラ』 構成・演技 志村麻里子
実験・創造工房 研究試演]U(12回目)
2006年12月20日、19時ー 
ザムザ阿佐谷
監修 林英樹



からっぽ、今〜、という意味を込めてます。
内容:『人形の家』(イプセン著)から一人の人間として生きるコト
について考えたいと思いました。
テーマが大きくなってしまい、収拾がつかないのが現状ですが。
テクストもまだはっきり決まっていません。
時・時間を中心に考えています。

T.SAKAI
自分が無くて空っぽであるがゆえに人に引きずられたり、詰ることなく熔けて いくような感覚を私は感じました。そのことは近代性(個人の自我の確立)とい うテーマに容易に絡んでくると思います。水道管の中を流れる音と身体の動き が、私が無くなる溶解感をかもし出しています。


K.KUWAHARA
星の王子は他者とのつながりを求めてさまようのだろうか?「人間とは?」と 言う永遠の命題に取り掛かったとき、どこの一点に照明を当てるのかがポイ ントだと思います。時計の音は色々イメージが膨らみそうです。


藤井理代
待たされていたのかな、嫌と言うほど流れる時間の中で、眠れなかったのか、 何かを忘れたかったのか。中身のない身体に水が入って満タンになって、色 んなものに詰め込まれて沈んでいく。切ない感じでした。


匿名希望
身体にもっと筋肉があればいいと思った。つまりもっとキレのよい動きが見た かった。対比で揺さぶるのが結構うまいなと思った。鼻先で闇をくすぐる?よう な動きはよかった。それが手足に広がっていく時が、だから、キレがなくて残 念だった。何でみんな叫びたがるのだろうか


K.Y
心臓とイソギンチャクはよく似ている。排水溝に詰った心臓がイソギンチャク。 やがて硬化していく。血の色がやがて浄化されてゆく。…「羊」は飼いならされ ていなかったと思います。他の何千何百の「羊」でした。


M.S
人体には限りがあるけど、思考には限りが無い。羊って優しさの象徴とか温 かいイメージがある生き物だけど恐いよね。顔とか。たたずまいとか。


M.M
「羊の絵をかいてください」―「星の王子さま」のお話かと思ったら、そんなロマ ンチックなお話ではなかったですね。なんか、きびしすぎる現実を感じました。


入好亜紀
テクストがとても印象的でした。そのテクストを否定しているような、肯定してい るようなあの青い人工のバラがうまく利いていたと思います。人間の中身の 「カラっぽ」な感じと、からっぽになりきれない現実とが、うずまいて、沈んでい く。水の音は自分の血液なのか、母の胎内なのか、求めているものがそこに あるけれど、そこに辿り着くには何かが足りないようなそんなイメージでした。 全体に流れている空気が良かったです。


H.TOMINAGA
まず最初に本人から伝わってくる不安さを感じた。おそらく故意に出している モノでは無かったと思ったのだが、それが作品に少なからず影響を与えてしま っていのではないか。初めはカラに見えていた体だったが時が起つにつれて 内側に重く暗いものが渦巻いていく印象を受けた、その原因は孤独だろう か?幼少時代から雑音が飛び交い、何を信じて何を疑えばいいのか分から ない現代…。そんな中で苦しみながらも必死でその中を生きようとする強さを 感じた。


H.SANO
時を刻む音はどこか懐かしさを感じた。古いふるいおばあちゃんの家…「仄暗 い水の底『カラ』」沈んでいって、見上げた水面には何が?見上げて見えたも のは何も無かったのか。それとも、カラダの中を液体状のものが満たしたの か。


M.KOGURE
志村さんは板の上に立った時に何時も違うカオをしている、気がする。けれど 声を聴いて、動く空気を感じて、其所にアナタの魂が在る事に気付く。けれ ど、けれど、その匂いの先に在るモノ、その手の先に在るモノが観客は見た いと想う。今日は後半にそれが少し垣間見えたのでしょう。私には宙に伸ばし た手の先に「赤ん坊の手」が見えました。産まれてから、産み出すマデの時間 …。自分の創ったモノって愛しい。いけないと解っていて依存してしまう。それ は、表現の落とし穴。


M.TAKEDA
ひからびて、満ち足りて、流されて、溢れ出、溺れる。笑う=からっぽなにもな い子供。遊ぶ。感覚が無い。


A>MASUNAGA
彼女は何故むすんでひらいてを歌うのだろう?
彼女は何故ひつじの絵を描いて欲しいのだろう?
彼女は何故人間は根がないと言うのだろう?
何故笑うのだろう?
全てが繋がることの無いまま、袋から抜けていく血であり、水?であり…。最 後のシーンは圧巻でした。もう少しヒントを小出しにしてもらえると親切?かな と。


I.WATANABE
「血のふくろ」とてもひっかかる言葉。本当に何故人間には考える力があるの だろう?ただの血の袋、ゴミだったら本当に楽なのに…なんてことを思ってし まいました。ラスト、深くて暗いところ(水の中?血の中?)に落ちていくシーン はとても魅力的(リアル)でした。もがこうとせず、ただただ落ちていく、沈んで いく…。それと求めること、これの意味も少し考えてしまいました。一人の人間 として生きることと孤独であることについても考えてしまいました。


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